エクリン腺は人間の皮膚の表面から浅いところに位置し、陰部や唇を除くほぼ全身の体表面に分布している汗腺のことで、人間が出す汗のほとんどがこのエクリン腺からのエクリン汗です。この汗腺は、日本人で全身に約200万～500万個も存在しているとされ、常時180万～280万個が働いて、発汗により体熱の放射を行います。体温調節のための「温熱性発汗」以外にも、緊張や驚きや不安などの精神的な作用による「精神性発汗」や、辛いものや熱いものなど刺激の強い食べ物を食べたときにかく「味覚性発汗」などが存在し、ほとんどが生理的な発汗です。脂肪や尿素、アンモニアなどの臭いの原因となる成分のほとんどはアポクリン腺からのアポクリン汗に含まれており、エクリン汗はその成分の99%が水分、1%が塩分であるためほぼ無味無臭であり「腋臭症（わきが）」の原因とはなりません。しかしエクリン汗腺からの分泌が過度に活発な場合は「多汗症」と診断される場合があります。